2005. 11. 14  遠征出発
 
 突然ですが、今年もオーストリア・メルタールで開催されるヨーロッパカップSBXに参加することにしました。今期はヨーロッパカップが2連戦で開催され、これがワールドカップに参戦するためのポイントを獲得する最後の大きなレースなんです。今回一緒に行動するのはナショナルチームの大橋と桐村。どちらも若手アップカマーです。おいら引率者的立場。もうそういう年齢なのか・・・10歳ぐらい違うもんね。 
 
 いつものように出発時間ギリギリまでパッキングに追われ、ちょっと焦りながら我が家を出発した。靱帯損傷した松葉杖生活の友人にムリ言って、中部国際空港『セントレア』まで送ってもらいチェックイン。毎度のことですが旅の中でチェックインが一番憂鬱な作業なんですわ。預け荷物の総重量は、実測38kgとオーバーチャージに引っかかる可能性がある重さ。ドキドキしながら微妙に小技を効かせてはかりに載せると、総重量32kgで無事クリアー。はぁ〜〜〜、一気に気持が楽になった。楽になったところで朝飯でも食べようと思ったが、朝はやすぎて店が開いていない。お気に入りの中華そば屋『豆天狗』もやっていない。しょうがないので成田で食べることにして、セントレアをあとにした。 
 新聞読んでいるうちに成田空港に到着。ここで大橋&桐村と合流。皆無事にチェックインできたようだ。そして一路ウィーンに向け飛び立った。3人だったのでウィーンまでのフライト時間は短く感じた。ウィーン空港も何度かきているので特に見てまわる気にもならず、いつものカフェでインターネットして次の飛行機を待つ。ここの空港はフリーの無線LANが利用できて快適なんだ。 
 ウィーンからインスブルックまでは、いつものようにプロペラ機のフライトだ。1時間ちょっとでインスブルックに到着。工藤プロとアパートのオーナーであるピーターさんが迎えに来てくれていた。空港でレンタカーをピックアップして工藤プロがキャンプのベースにしているOetzのアパート向かう。 
 アパートではキャンパーの皆様が料理を作ってくれていて、明日帰る白水翔と我々の歓迎を含めてちょっとしたパーティーを開いてくれました。美味しく料理とビールを頂いて、すっかり眠くなった。移動で疲れたし時差ボケもあるからだろう。明日滑る用意をサクッと済ませて早々に就寝。明日から頑張るぜ。 
 
写真:今回のレンタカーFIAT Multipla。3人×2列シートで、2列目にある3脚のシートは個々に取り外しができる変わった車 
  
 

2005. 11. 15  スノーボードたのしぃ〜。
 
 昨夜は時差ボケで変な時間に目が覚めたりして、眠りが浅かった。軽く体を温めてソルデンに出発。天気は快晴。ソルデンはOetzから車で40〜50分ほどの道のり。久しぶりの右側通行に緊張しつつ安全運転でゲレンデに向かう。リフトチケットを購入し久しぶりのソルデンを堪能!と思ったが、今年は雪がまだ少ないようで滑れるところは少ない。石も所々に出ていて早速エッジはボロボロになってしまった。滑りの調子は、ブーツとバインディングが新しくなったことで少しフィーリングが変わり、イマイチ乗りきれていない。基本的な運動やセッティングを確認しつつ何本か滑り込んだ。久しぶりのライディングは『たのしぃ〜!』って新鮮な感覚で滑れたね。スノーボードって、やっぱり良いわ。 
 
写真:今年は雪が少なく氷河以外の所は全く雪が付いていない。 
  
 

2005. 11. 16  視界不良
 
 本日は視界不良で雪面が見えない。体が慣れていないので全く乗れていません。ゲートの中の方が滑りやすいと思って試しに入ってみたけど、ダメダメで転けまくり。練習にならないので天候回復するまでレストハウスで待機。でも結局視界は良くならなかったので、レストハウス正面にある急斜面だけ数本滑ることにした。この斜面はソルデンの中で一番好きなバーン。急斜面で幅が広く、どれだけ大きなロングターンをきってもコースアウトしない広さ。ここをフルカービング、もしくは直滑降で滑るには、かなりの技術と根性が必要なのさ。3本だけ集中して滑って今日は終了にした。 
 夕方、近所のグランドで工藤さんのキャンパーたちと共にサッカーをした。しかしグランドはぐちゃぐちゃで、走れないし止まらない。そんな中1時間ほどゲームを楽しんで、靴とパンツは泥だらけになってしまった。いい汗かいた。洗濯が大変だ・・・。 
 
写真:キャンパーの皆さんと我々レース参加者。達は撮影者で相変わらず写っていない。 
  
 

2005. 11. 17  懐かしのIMST
 
 昨夜は山間部で雪が降ったようだ。テレビで天候を確認してとりあえずゲレンデに行ってみると、20cmほどのパウダーが積もっていた。昨日まで岩だらけの山肌が白くパックされて、冬の到来を感じて嬉しくなってきた。しかしゲレンデは雲に覆われており視界は良くないので、レストハウスで少し待つことに。いつもならパウダーを楽しむところだが、この視界では練習にはならないし皆疲れも溜まっているということで下山した。あとで聞いた話だが、我々が下山したあと視界も回復して、かなりパウダー楽しめたらしい。ううっ、しょうがないさぁ〜。 
 
 午後は昨年もよく買い物に行ったIMSTでショッピング。昨年からショッピングセンターが増設・新設されるなど開発が進んでいたが、今年はOBIというホームセンターが移転して大きくなっていた。こちらでは家を自分の手で建てることが普通らしく、扉やシャワールーム、壁材など一通りの建材がホームセンターに揃っている。また工具も充実しており、帰りの飛行機の重量制限がなければ買って帰りたいモノばかりだ。今回も作業台で非常に気になるモノがあったが、5kg弱あったので諦めました。以前ニュージーランドに行ったときも、6人ぐらい入れるジャグジーがホームセンターで安く売っていて、何とか持って帰れないか考えたことがあったなぁ〜。もとろん諦めましたがね。 
 
 それから昨年お世話になった小嶋アカデミーのアパートで預かってもらっていた荷物を引き取りに行った。残念ながら小嶋先生は選手と共にアメリカに遠征中で不在だったので、荷物だけ引き取ってきた。昨年スポーツショップのオープニングセールで安くて衝動買いしちゃったダンベルや衣類、綿棒、シャンプー、ファブリーズ、そしてIMST中探しまわって結局日本から取り寄せたテーピングなど多数の荷物が出てきて、昨年のキャンプを思い出し懐かしい気持になった。1年ってほんと早いなぁ〜。 
 
写真:雪が降ったのは嬉しいが視界がない・・・。 
  
 

2005. 11. 18  寒い・・・。
 
 本日の天候は晴れ時々曇り。非常に寒いです。ム10度以下らしいですわ。サーマルインナーにウィンドストッパー、ウェアー、ネックウォーマーでも寒い。そんな中ゲートトレーニングを行う。全員でゲートセットして足慣らししたらビデオ撮り。しかしどうにも乗れていない。足下が出来ていない感じで思い切ってゲートに飛び込めない。こういう時はフリーランで修正だ。あまりに寒いのでゲートトレーニングは午前で終了。オイラは午後もう少し滑ることにした。昨年のイメージや夏の間に習得したことを思い出して、地味に基礎練習を繰り返していくうちにちょっとイイ感じになってきた。あまり滑りすぎると今後に響くので、程々にして帰宅。 
 夜、サースフェーから移動してきた千村、長嶋、五十嵐が到着した。彼らもメルタールのレースに参戦するので、それまで工藤さんの所にお世話になるそうです。賑やかになりそうだ。 
 
写真:だいぶ雪がついてきた。スゲー寒いんですがね。 
  
 

2005. 11. 19  雪景色
 
 朝起きると外はうっすら雪が積もっていた。空気はキンと冷えている。雪のお陰でうっすら明るいあぜ道をジョギングして体を温める。シューズ越しに感じる雪の感触が心地よい。かるく汗をかくぐらい走り込んでから朝の準備をする。そしてゲレンデへ出発。所々雪が残っているので安全運転でゲレンデを目指す。 
 
 今日は土曜なのでゲレンデも朝から賑わっており、リフトが開くのを多くの人が待っていた。それもそのはず、正面の急斜面にはパウダーがあるではないか。20cmぐらいで少し物足りないが、今年初のパウダーを頂くことにした。パウダーが薄いので底づきして浮遊感はなかったが、それなりに面白い。楽しんだあとゲートトレーニングを始めた。 
 今日はインターバル長めのセット。バーンに何カ所かうねりがあるので、場所によっては逆バンクっぽくなっていてバックサイドで板がずれやすい。雪質は柔らかめでグリップ良好だから思い切ってゲートに飛び込んでいける。昨日の午後に調整した滑りでゲートに入ってみると、結構気持ちよくゲートをクリアーできる。先述の逆バンク気味の所で落とされてしまうが、ライン取りさえおさえれば問題はない。今日の滑りはイイ感じだ。乗れてきているが、それにしても寒い!顔が痛いぐらい寒い!そんな中、午後まで頑張って滑って下山。寒かったせいかかなり疲れたし腹も減った。帰宅してからお菓子とお茶で至福の時を味わう。 
 
 夕方、体にたまった乳酸を取るためにジョギングにでた。いつも走っている川沿いの道には雪がまだ残っている。走り始めると徐々に体も温まってきて、視線を上に向けると夕闇に沈んでいく雪化粧された岩山がすごく綺麗に眺められた。気持ちイイので今日は少し長めに走ることにする。しかし調子に乗って走り続けたら真っ暗になって、足下すら見えなくなってきたので1時間弱でジョギングを終了。走ったあとはご飯が旨い。勿論オイラは洗い物係です。 
 
写真:ゲートバーンは山の陰になっていて非常に寒い! 
  
 

2005. 11. 20  日曜日
 
 工藤さんキャンプの方々は本日OFF。我々は滑り足りないので山へ向かった。林はちょっと風邪気味で体調が良くないので滑るかどうか迷っていたのだが、天候もよく朝一は空いていたのでとりあえずちょっとだけ滑ることにした。今日は風が強く相変わらず寒いけれど、太陽が出ているだけ幾分ましだ。寒さ対策でMarmotのダウンを着こんできたので、昨日ほど寒さが気にならない。 
 
 滑っていてどうにも前後のバランスが悪く、板の中心に乗れていない感じがするので、これを改善しようと試行錯誤しながら滑り込む。日曜だけあって1時間ほど滑るとゲレンデが混んできて、ゴンドラ待ちも酷くなってきた。20分で1本ぐらいしか滑れないので、ちょっと早いがランチにした。昨日に続き今日もケーキを買ってしまった。昨日はレアチーズケーキ。今日はチョコとラズベリーのケーキ。どちらも大味でまあまあといったところ。寒いので食欲が湧いてるのね。 
 
 午後は急斜トレーニング。すこし荒れてきた急斜面で、いかに谷回りをしっかり作って板を回し込めるかがポイント。急斜だから体軸の落とし込みも重要ですね。しかしなかなかイメージ通りには滑れない。フロントサイドで前足を踏みこめていないのが原因。頑張りすぎて足が辛くなってきたので本日は終了。そういえば体調もだいぶ回復したみたい。明日には完調に戻すさ。 
 
写真:本日のドルチェ。 
  
 

2005. 11. 21  視界ゼロ
 
 いつものように5時30分に起きる。7時30分に出発するにはこの時間に起きないと間に合わない。もちろん眉毛を書いたりしている訳ではない。ゲレンデですぐに滑りだせるようにアップしておくのに2時間ぐらい必要なんだ。いつものようにメニューをこなし外に出るとOetzの町に雪が舞い降りていた。『ゲレンデは視界が無いかも?』でも少しの可能性にかけてゲレンデに向かった。 
 
 山へ向かう道も雪が積もっていて除雪車が走っている。こっちの除雪車はスピードが速くてすれ違うとき恐いぐらいだ。レンタカーはスタッドレスを履いているが、FF車なので思い切ってアクセルが踏みこめない。他の車も安全運転で山道に入るまでいつも以上に時間がかかった。山道は除雪されているとはいえ所々除雪作業が追いついていない所もあり、FF車では雪でグリップを失い止まってしまいそうになる。それでも何とかアクセルコントロールで騙し騙しゲレンデに到着。 
 そこは雪が舞って時折強く風が吹き付けて視界はないに等しかった。皆で話し合った結果『無理でしょ!』ってことで速攻下山。下りは登りよりさらに慎重に運転しなければならなかった。落ちたら崖で確実に死ねる様な山道なのに、ガードレールは少ないんだな。ガードレールがあっても木製だし・・・。落ちた人いないのかな? 行き帰りで2時間ほどの雪道ドライブを楽しんで帰宅。結構疲れたのでお昼寝してみた。う〜気持ちええ〜。 
 
 外は雨まじりの雪が降っていて、アパートから見える山の中腹で雪に切り替わっているのがみてとれる。明日はパウダーかな? 練習にはなりませんな。 
 
写真:今回、一緒にレースに出る関西人クロスライダー桐村(左)とアルペンクロスライダー大橋(右)。 
  
 

2005. 11. 22  ぱ〜う〜だぁ〜
 
 今朝は星空が見えているので天気は良さそうだ。問題は山の上にも雲がかかっているかということだが、多分大丈夫そうなのでゲレンデに向かった。上がってきて正解。パウダーがたっぷりあるではないですか。これじゃゲートトレーニングはできません。フリーランするしかないので、パウダーを頂くことにする。 
 パウダーは20cmぐらいかな?って思っていたが、いざ突入してみると膝上ぐらいある軽い雪だった。軽くてノーズが刺さり気味なので、セットバックするかパウダーボードが欲しいところだ。あっという間にパウダーは食い荒らされボコボコの不整地に様変わりした。この不整地が手強くて、かなり頑張って板を押さえ込まないとバランスを崩してしまう。前足が悲鳴をあげております。そんな不整地でゴンドラ1本分「直滑降勝負!」して、みんな限界こえて必死だった。転んだらタダじゃ済まなかったね。怪我人でなくて良かった。 
 今日は平日なのでそれほど人も多くないから、午後になってもパウダーが所々残っており、足が限界になるまでパウダーを楽しむことができた。滑りすぎたので明日はOFFにしよう。 
 
写真:パウダー楽しくて写真撮るの忘れたから、別の日の写真。この構図がオイラ好きらしい。 
  
 

2005. 11. 23  まったり休日
 
 目覚ましをかけずに起きたくなるまでゆっくり寝た。10時間ぐらいは寝ただろうか。外はすっかり明るくなっていて天気が良いようだ。今日は遠征の準備をするだけ。気持ち的にすごく余裕があって楽だ。やはり集団で行動すると時間に束縛されるので、気が張っているようで少々疲れる。今回は短期遠征だから尚更だ。今日はゆっくり過ごすことに決めて、とりあえず読みかけの小説を手に取った。今回持ってきたのは、伊坂幸太郎の『ラッシュライフ』と京極夏彦の『百器徒然袋雨』。 
 いま読んでいるのは『ラッシュライフ』だ。行きの飛行機の中で途中まで読んで、なかなか続きを読む時間がなかったのだ。読み始めると面白くて、午前中で一気に読み終わった。微妙に絡み合う登場人物達の人生が良い。どういう頭だとこんなストーリーが思い浮かんで、こんなに面白い文章として表現できるんだろう? 最近自分の書く文章の稚拙さを思い知って、ちょっと日記書くのが億劫だっただけに、本物の文章に触れて感動した。そしてまだ読み足りなくてかったので、『百器徒然袋雨』にも手を伸ばすが、先に準備をせねば!と思い直し、ようやくベットから這い出ることができた。 
 
 まずはワクシング。ゲレンデに点在する石で傷ついたエッジを応急処置し、トップワックスを塗り込む。そして久しぶりに日記のアップを行うことにした。今回の遠征ではネット環境が準備できなくて、余所様の無線LANを拝借している状況なんです。しかも通信速度が安定していないので、メールチェックぐらいはできても日記や写真のアップは時間の余裕がなくて出来なかったんですわ。でも今日は時間があったので一気にアップ完了。お待たせしたことをお詫びいたします。荷物のパッキングも完了し、明日はいよいよレースの行われるメルタールに移動です。どんなコースか楽しみだ。 
 
写真:今日はゲレンデに上がっていないので別の日の写真。やっぱり快晴の雪山は綺麗だし滑っていても気持ちイイのだ。 
  
 

2005. 11. 24  メルタールへ移動
 
 車に荷物を積み込みメルタールへ向けて出発。まずは高速に乗ってインスブルック方面へと車を走らせる。運転手は工藤さん。え〜地元の人より飛ばします。攻めてます! インスブルックからイタリア方面へ南下し、高速を降りるところでオイラが見間違えて行きすぎてしまった。だって地名がいっぱい書いてあるんだもん。瞬時に地図上で照合できなかったのさ〜。2ユーロほど余分に払って目的の出口まで戻り、気を取り直してリエンツ方面の東に向かう。そこで林に運転交代した。 
 下道は所々雪が積もっていて、ハンドルを持つ手に緊張が。トラックも走っているので低速でついて行くしかなかったり、頑張って抜いたりしながらSPITTALまでやってきた。「あれ?SPITTALまできたら行き過ぎてないか?」ちょっと彷徨って町行く人に道を尋ねた。もちろんドイツ語で説明されると困るので、英語が話せそうな若い女性に声をかけてみた。彼女は有難いことにオイラでも判るような英語で説明してくれて、我々が分岐を見落としていたことが判った。そういえば昨年も同じ分岐を見落としていたような記憶が・・・。それからは彼女が教えてくれたとおりの道を進んで無事メルタールに到着。迷った分を含めて5時間ぐらいの道のりだったけど、思いのほか近く感じた。 
 
 宿にチェックインした後、ゲレンデに行ってコースチェックするつもりだったが、ちょうど戻ってきた選手に聞いたところによると、「コースはまだ造成中で、入ることもできない。」らしいので行くのは止した。ワックスなどしてからTCミーティングへ行った。すでに日本人選手も多く集まっていた。今回参加する日本人は、女子は三宅、土井、植松、三井、吉田、藤原。男子は千村、飯嶋、五十嵐、長嶋、高橋、それから我々4人と二星コーチの総勢16名。全体では女子70名、男子150名と結構多い。みんな世界目指して頑張ってるんです。 
 ミーティングの内容だと、明日午後から公開練習で、午前中にコース手直しする予定だとか。『コース作りが遅ていて1戦しか開催されないかも?』なんて噂もあったが、なんとか2戦できそうかな。ミーティングではウェルカムドリンクでビールを頂いた。土曜にはパーティーもあって、その時にも1ドリンクついてくるようだ。2戦分の参加費は僅か30ユーロ(4,200円)で、これだけの待遇は素晴らしいね。単純にお金の問題だとは思うんだけど、日本と何が違うんだろうか?不思議だ。 
 
写真:キリムラクン、アタマナガイデェ〜ス。 
  
 

2005. 11. 25  公開練習、そして事件発生!
 
 コースオープンが12時以降なので、ゆっくり起きて朝食を頂いた。こちらの朝食といえば、丸いフランスパンみたいな「センメル」、名前は知らないが黒いしっとりした重いパン、チーズ、ハム、茹で玉子、シリアル、オレンジジュース、コーヒーなどの軽食が主流。今回もそんな感じ。それからゆっくりジョギングして体を温めてからゲレンデに向かった。 
 ゲレンデに到着すると、ちょうど女子のインスペクションが開始されたところだった。軽く足慣らしして、13時30分から男子のインスペクション開始、そして公開練習が始められた。今回のコースは短くセクションも少ない比較的簡単なコース。それだけに各セクションでのちょっとしたロスが、タイムに現れるので気を抜くことは出来ない。気になるのは第一バンクで、少々荒れていて曲がりがきつめ。とにかくロスが無いようにセクションを上手く繋ぐことをイメージして滑り込む。2本ほど滑ったところで、ガスが降りてきて視界が悪くなってきた。キッカーやウェーブにはマーキングがないので視覚的に地形を把握できないが、板を通して足に伝わる感触でなんとかセクションをクリアーし、もう2本ほど滑ってから終了した。大体のイメージは出来たのでいけるでしょう。 
 
 宿に戻って早々にワクシングして明日の準備は完了。夜、TCミーティングに行ったら事件発生。公開練習用のビブを集めて、日本チームでまとめて返却したのだが1枚足りないらしい。紛失の場合、お金取られたりするんだよね。そこでみんなのビブ番号を確認したが、オイラだけビブ番号を覚えていなかったため、第一容疑者的立場になってしまった。「オレなのか?返したと思うんだが・・・呆けたのか?」。車の中を確認したり、宿まで戻ってオイラの部屋を確認したが見つからない。考えれば考えるほど自分の記憶が揺らいでいく。ううっ、私にかかる疑惑を晴らさねば・・・。 
 林、千村、五十嵐の3人で回収された200枚以上ある全てのビブを確認し、我々に与えられた80番台のビブをピックアップしたところ、全て返却されていることが確認された。よって私の容疑は晴れた訳だが、じゃあなぜ「1枚足りない!」なんて話になったのか?まあ簡単な話で、ある人が「既に返却済であった1枚分のビブがある」って事を理解していなくて、数を勘違いしただけなんだな。本人の名誉のためにも名前は伏せておきましょう。だってオイラは心が広いんだも〜ん。ね、二星コーチ。 
 ビブ番号は111番。出走はポイント順で80番目。予選タイムトライアルで32番までに入って、決勝に進むのだ! 
 
写真:大橋危うし!謎の覆面レスラー(レーサー?)現る!さて誰でしょう。 
  
 

2005. 11. 26  EC第1戦
 
 レースの予定は、8時45分にインスペクション開始。でもフニクラ(ケーブルカー)が動き始めるのが8時。フニクラ乗ってゴンドラに乗り換えて、更にリフトで上がってコースに行くまで40分以上はかかる。つまりアップで滑る時間は計算上ない訳だ。だから朝5時に起きてジョギング&トレーニングでしっかり体を温めておいた。 
 
 昨日の夜に降った雪が15cmぐらい積もっている。いま雪は止んでいるが上空は曇っていて、「ゲレンデの視界はどうなのだろう?」と少々不安を感じながら滑る準備を整えた。昨日と全く同じのオーストリアで一般的な朝食をたべたら、すぐに宿を出発した。昨日の夜にタイヤにはチェーンを履かせておいたので、登りは全く問題なく予定通りの時刻にフニクラ駅に到着。おそらく全てのチームがフニクラに集結していると思って早く来たのだが、思いのほか混雑していない。 
 ゴンドラに乗り換えると、ゲレンデがガスに包まれているのが確認できた。なんか怪しいね〜。すぐにでも滑りだせる準備は整っていたが、様子を伺うためレストハウスに入ると、男子は「10時30分からインスペクション開始」に変更されていた。男子の前に行われる女子のインスペクション開始時間も遅れているようだ。とりあえずブーツの紐を緩め、着こんでいるプロテクター類を外して窓からコースを眺めてみるが、視界が悪くてよく見えない。でも間違いなく誰もコースを滑ってはない。「こりゃ相当遅れそうだな」と誰もが感じていた。 
 
 カプチーノなんぞ飲みつつおとなしく待っていると、「さらに30分遅れる」とか「12時45分から男子開始」なんて情報が入ってきた。外の視界はやや回復したように感じられたが、たぶん滑ったら雪面が全く見えなくて、ターンの切り替えが出来ない様な状況であることが想像できた。そろそろアップしてスタートに行こうかとプロテクターを装着し終わったとき、二星コーチからトランシーバーで連絡が入った。伝えられた内容は、「本日のレースは中止!」というものだった。どうやら女子の公開練習までは行われたのだが、タイムトライアルを始めたところタイム計測機が雪の影響で不調?らしく中止になったとか。まぁどのみち本気で滑るには危険な状況だから、中止はしょうがないでしょう。女子は寒い中、かなり待たされたようでかわいそうでした。我々はレストハウスで待っていただけですが・・・。そして早々に退散いたしました。 
 
 板すら使っていないのでワックスする必要もなくヒマなので、近くのホテルにあるLANケーブルを拝借して日記アップいたしました。それでもヒマなのでお部屋でワイン飲んでだらぁ〜っと過ごした。その間も雪は降り続けて、寝る頃には40cmぐらい積もるほどだった。「朝からパウダー喰っちゃう?」って勢いだね。明日の2戦目は開催予定だというが、多分コースが埋まっていて開始が遅れるか、最悪中止ということも予想されています。スイスチームはすでにレースをキャンセルしたとか? こればっかりは自然との関わりで成り立つスポーツだけに致し方ありませんね。とりあえず開催されることを信じて、また朝5時に起きるのさ。 
 
写真:このドカ雪を歓迎してはしゃいでいたのは、彼だけだったのではないか。 
  
 

2005. 11. 27  EC第2戦
 
 問題の朝、窓から外をうかがうと雪が止んでいるように見える。「おぉ、開催できるんじゃねえの?」、ちょっと期待しつつジョギングしに外へ出たら。こまかな雪がまだしっかりと降っているではないですか。「まぁなんとかなるかも?」なんてポジティブに走り出したら、圧雪された道の上には新雪がしっかり積もっているので、トレイルランニング用のシューズでもグリップが効かない状態。100mも走らないうちに2回も転んだので危険を感じて引き返した。不安を押し隠すようにバスルームでトレーニングして、「いやいや、ゲレンデは雪雲の上かも?」なんて脳天気に考えながらウォームアップ完了。 
 準備を整えていたところに、他国の選手から情報がもたらされた。「今日はキャンセル!」という冷静に考えれば当たり前の結末であった。ゲレンデは積雪も多く強風のため、レースの開催は不可能ということだ。一番恐れていた事態になってしまいました。我々3人はこのレースのためにわざわざオーストリアまで来たというのに。まぁこれも自然相手ですから・・・って簡単に割り切れませんぜ。出費を考えると・・・はぁ〜。ということはワールドカップに出られる可能性も無くなったということ?悲しくなるので、これ以上考えるのは止そう。 
 
 せめて大会に来た気分を味わうために、大橋&桐村はビブを着用して車の雪かきして楽しんでいた。そこへスウェーデンの選手がやってきて、なぜか突然雪合戦が始まった。みんな子供のように奇声をあげて雪玉を投げ合い、いい汗をかいた。スウェーデンチームは40時間かけて車で帰るそうだ。お疲れ様でッス。 
 「パウダーを喰う!」って選択肢もあったが、すでに滑る気持が失せていたしリフトも止まったままらしいので、早々に荷物を車に詰め込みメルタールを脱出した。この雪だと相当時間がかかるかと思われたが、道はほぼ除雪されていたので特に問題なく5時間ほどでOetzまで帰ってきた。こちらは晴天で雪化粧された山々が美しい。イタリア観光に行きたかったのだが、我々にそれほどの余裕は無いのだ。 
 
 なんとなく4時頃からワインをあけて飲み始めた。千村、長嶋、五十嵐も加わり業界裏話?(業界エロ話?)で大いに盛り上がった。そのまま夕食に突入。ビールを飲みながら工藤さん達キャンパーが作ってくれたスペアリブなどを美味しくいただいた。ここでもまた色々な話(すでによく覚えていない・・・)で盛り上がり、遠征のことを忘れるほどバカ笑いして夜は更けていったとさ。 
 
写真:せめて雪かきで思い出づくりの二人。 
  
 

2005. 11. 28  インスブルック観光
 
 昨夜は飲み過ぎて朝起きられないだろう思いつつ、一応6時に目覚ましをかけたら、なんとなく目が覚めちゃった。大橋&桐村は起きてこないので滑る気は無いのだろう。こんな体調の時にわざわざ滑ることも無いのでOFF決定。工藤さん達キャンパーはいつもの時間に出発していった。強者だ。千村と長嶋は今日チューリッヒから日本に帰国するので、午前中に宿を発った。「カナダのワールドカップ頑張ってね〜。」 
 
 我々OFF組は昼前にインスブルックへ向けて出発した。まずは「スワロフスキーワールド」を目指して車を走らせたが、持っている地図が曖昧で何処の高速インターで降りるかが判らず、少々彷徨って看板を発見。看板をたどって目的地に到着。あの「ぷっちょ」のCMで有名な、口から水を吐いてる巨大な顔のオブジェが出迎えてくれた。とりあえずこの写真を撮りまくった。それから8ユーロ払って中にはいると、スワロフスキークリスタルを用いた様々なアート作品が鑑賞できて、かなり面白かった。軽い気持で入ったのだが2時間ほどゆっくり鑑賞できてご満悦ですわ。もちろんショップでスワロフスキークリスタルを購入することも忘れません。 
 腹が減ったのでインスブルックに新しくできたバーガーキングで、遅めのランチにした。それから恒例の「黄金の小屋根」や「イン川」、「イン橋」、「St.ヤコブ教会」などを見てまわり、寒くなったのでカフェに入った。そこにザッハトルテがあったので、エスプレッソと共に注文した。ザッハトルテはオーストリアで有名なチョコケーキのこと。お味は「海外のケーキ」って感じですね。昨年IMSTのカフェで食べたチョコケーキの方が旨かったような? 暗くなってきたので車で「アルペン動物園」のある山の手に行って、インスブルックの夜景を男3人で見に行った。3人の誰もが「女の子と来てぇ〜」ってぼやいてましたわ。 
 
 140km/hで宿に戻って最後のカレーを作った。日本のニュースで特集されていたグリコの「ZEPPIN」が気になっていたので持ってきていたのだ。「香りのルウ」の中に「コクのペースト」が入っている2層構造のカレーらしい。余った野菜、鶏肉をたっぷり入れてしっかり煮込んだら、なかなか旨いじゃないか。今後のレース参戦計画なんかを話し合いながら、安くて旨いワインをいただきながら夜はふけていった。 
 
写真:旨そうでしょ? 
  
 

2005. 11. 29  最後のソルデン
 
 寝るのが少し遅かったせいか、起きるのが非常に辛い。熱いシャワーを浴びて目を覚ます。今日がオーストリアで滑れる最後の日だ。ゲレンデの天気は良い。気温は少々寒めで−13℃。昨日からゲートバーンが変更になってほとんど陽の当たらないところに移動し、さらに今日は風が少々強いから寒いじゃないか! 
 週末に工藤さんとアツシが参戦するクータイのFISレースに向けて、今日のセットはスラローム。雪は程よくグリップするいい雪。アップしてからゲートに入ってみるが、全くお話しにならない滑りだった。フリースタイルがフルカーヴィングで入るにはちと厳しいセット。バーンが荒れる前はまだ良かったが、荒れてからはDQの連続で非常に悔しい。エッジずらして完走しても意味がないので、ラインや動きを変更しつつなんとかフルカーヴでいけないか色々試してみたが、結局いいイメージで完走することはできなかった。まだまだ乗れていないですなぁ〜。 
 午前中のゲートトレーニングですっかり疲れてしまったので、午後は滑らず下山しました。山には雲がかかってきて視界も良くなかったからね。 
  
写真:スワロフスキーワールドにあった巨大クリスタル。 
  
 

2005. 11. 30  最終日
 
 5時30分に起床しストレッチ&ジョギング。なぜこんなに早起きか?というと、昨夜のビデオミーティングで滑りを確認したら、あまりにお粗末で滑りを修正したくなったので滑りに行くことにしたのだ。大橋&桐村はもう滑らないみたいなので別行動です。 
 
 ゲレンデは快晴の青空で気温もそれほど低くない。雪温は−11℃で先日降った雪が徐々に締まって、程よいグリップ感のいいバーン状況だ。昨日に引き続きスラロームのセットを準備する。今日のセットは昨日より振り幅は少ない感じで、「フリースタイルでも楽に入れるかな?」なんて思っていたが実際には違った。入ってみると結構忙しいリズムで動かないとクリアーできない。みんなはしっかり巻いて(インポールを直線的に狙わず、丸いターンでラインを繋ぐという意味)入っているので、板も暴れずスマートにクリアーしている。オイラはどうしてもインポールに近づいて最短ラインを狙おうとするクセがあるのでアグレッシブに攻めているように見えるが、余分なエッジングやリカバリーの動作も多くて結果的にはあまり速くはない。完走率も低い。しかしレースではなく練習なのだし、自分の限界を引き上げるために滑っているのだから、あえて工藤さんのライン(アルペンのライン)に近づけるよう攻め攻めで滑った。その甲斐あって昨日修正したイメージに近い滑りができるようになってきた。満足するだけゲート攻めて午前のトレーニングは終了した。 
 
 もう食材がないので弁当は無し。昼飯はレストハウスで食べた。3種類のステーキと大量フライドポテトが盛りつけてあるグリルプレートは、味も量も満足いくものだった。調子に乗ってデザートも注文。アップルパイにバニラソースがかかったもので、これが旨いんだ。甘すぎずトロッと温かいバニラソースが最高。昼から2000円近くも食べちゃった。最終日だからちょっと贅沢してみました。 
 午後は仕上げのフリーラン。軽くキッカー飛んだりカーヴィング刻んで気持ちよく流して、最後にお気に入りの急斜面を直滑降して仕上げることにした。今日はお客も少なくバーンは空いているので接触する可能性は少ないが、このバーンの入り口は急激に斜度が変化して先が全く見えないのである。もちろんそこで止まって安全確認すれば何も危険なことはないのだが、上から滑って繋いでその斜面変化を飛ぶのが気持ちイイのだ。気持ちイイってのは恐怖とほぼ同義語であるように思う。 
 1本目、すげぇ〜ドキドキしながら少し押さえ気味で斜面変化から飛び出した。その瞬間に前方下部の視界が一気に広がる。前方に座り込んでいるスノーボーダーと滑っているスキーヤーが確認できた。数百メーター先だがこのスピードではすぐに方向を変えていかないと避けられないので、軽くエッジを効かせてフォールラインを調整する。その間もグングン加速して視界は狭く固定されていく。頭を動かす余裕もない。少し荒れた雪面からの衝撃は下肢で押さえ込み、上体はフォールラインに向けて固定し、斜面がゆるくなるまで落ちていった。う〜ん、体がまだ斜面とスピードに慣れていない。よってもう一度繰り返すことにした。今度は少し速くアプローチ。風圧で体が押し戻されるのが感じられる。このスピードならレーシングワンピースの効果は絶大なんだろう。この2本で満足!オーストリア遠征での滑り納めとした。 
 
 帰宅して憂鬱なパッキングを始める。食材や消耗品が無くなった分荷物は軽くなるが、スーパーで買ったお土産がそこを埋めてくれる。オーバーチャージに引っかからないよう2個のバッグの重量配分を調整しパッキング完了。夜、ビデオミーティングしてからみんなで軽く飲み会。我々3人は明日の便で帰るが、キャンパーの皆さんは12月末ごろまで滑るようだ。明日滑る人もいるので程々にして就寝。 
  
写真:お昼に食べたデザート。旨いッス!